対象操作とは
授業内で,対象操作は行列によって表せる座標の移動であることを学びました。
行列で表せるということは,対象操作は線形変換であるはずです。
ある操作fが線形であるということは,
任意の点x, yと定数 a, bについて
f(ax+by)=af(x)+bf(y)
であるということです。
ここでは「点」と書きましたが,関数でもなんでもいいです。
基底関数とは
点群Gのすべての対称操作fについて,
f(x) = ±1x
であるとき,xは点群Gのある既約表現Aの基底関数であると言います。そして,同じ既約表現に属する基底関数では,対応する対称操作で変換された符号が等しくなります。
和の基底関数性について
xやzxについては,お絵かきをすればある既約表現(B1)の基底関数であることがわかります。
ところが,x+zxとなると,そう簡単にお絵かきできないうえに,対称操作でどのように変化するのかもよくわかりません。
そこで,対称操作の線形性を利用します。
ここでは,ある対象操作fについて
f(x) = ax
となるものとします。
ただし,|a|=1です。
また,同じ既約表現に属するzxについても
f(zx) = azx
が言えます。このとき,対称操作fは線形であることから,
f(x+zx) = f(x)+f(zx)
= ax + azx
= a(x+zx)
となります。
この式が言っていることは,同じ既約表現に属するxとzxの和も同じ既約表現に属するということです。
つまり,B1の基底関数であるxとzxの和はB1の基底関数になるということです。
分かりにくければ,x+zx=Xとして
= ax + azx
= a(x+zx)
f(X) = aX
と書くとわかりやすいでしょう。
ここでは具体的な例を挙げて説明しましたが,抽象化して書けば
- 同じ既約表現に属するの基底関数の和(より広く言えば線形結合)はその既約表現に属する。
- 異なる既約表現に属する基底関数の和(線形結合)はどの既約表現の基底関数にもならない